Match Preview

ホームでは10連敗中の天敵・鹿島。流れを変える勝利をつかみ、より上位へ向かいたい

劇的な勝利を飾った前節の大阪ダービーから中3日。セレッソ大阪は、ホームに鹿島アントラーズを迎え、明治安田生命J1リーグ第12節に挑む。鹿島にはリーグ戦のホームでは10連敗中。まさに天敵と呼べる存在だが、連勝することでさらに上位が見えてくるだけに、何としても勝点3をつかみたい。

試合前、「とにかく結果にこだわれ。少々内容は悪くても、今日は絶対勝つ」という指揮官のゲキを受けて臨んだ公式戦60回目の大阪ダービーは、前半から相手にボールをもたれる時間も長い苦しい展開となったが、前半に松田陸のクロスからレオ セアラがヘディングを決めて先制に成功すると、同点に追いつかれた後半も崩れることなく戦い、最後は自陣からのロングカウンターが決まり、山中亮輔のクロスから加藤陸次樹が決勝点。選手起用、システム変更、指揮官の交代策もズバリとハマった会心の勝利を演じた。試合後、「ダービーは勝つことがどれだけ重要か。それを僕はキャリアを通じて感じてきた。どんな内容であれ勝てたことに、ファン・サポーターは誇りをもって欲しい」と話したのは香川真司だが、18人全員で戦い、つかんだ大阪ダービー勝利の価値は計り知れない。

「選手たちがより明るく引き締まった表情でプレーしている姿を見て、改めてダービー勝利の力を感じた」と小菊監督も話すなど、確実にチームの一体感は増した状態で迎える今節だが、冒頭で記した通り、近年、鹿島とのホームでの相性は思わしくない。“小菊セレッソ”になって以降も21年、22年とホームでは敗戦が続いており、昨季も0-3で完敗。そうした流れを変えるためにも、大阪ダービー同様、明日は何が何でも勝利にこだわりたい。ポイントの一つは先制点。前節の鹿島は、前半に相手のミスを突いて先制すると、その後は守備を固める現実策でウノゼロ勝ちを達成している。この流れは鹿島にとって十八番とも言える展開であり、セレッソも幾度となく煮え湯を飲まされてきた形だ。それだけに、相手のペースに持ち込ませないためにも先手を取る必要がある。また、選手一人一人に強さがある相手に対し、局面での1対1、球際のバトルで負けないことも、この試合では特に重要だ。2トップに入れてくるボールに対し、CBを中心とした守備陣のチャレンジ＆カバー、さらには中盤でのセカンドボール争いも含め、1試合を通じてタフなプレーが求められる。明日は雨の予報もあるだけに、ピッチ状況に応じたプレー選択も必要になるか。その上で、前節も光ったサイドからのクロスも含め、相手のスキを逃さず、ゴールをこじ開けていきたい。

両チームの勝点差は『1』。今後の上位争いを考えても、ここで鹿島を突き放すことは非常に重要になる。現在３連勝中と勝負強さを取り戻してきた相手に対し、堅い試合になる可能性は高い。チャンスを決め切り、隙を与えない。攻守において、より細部にこだわることが勝点３に直結するだろう。ゴールウィーク3連戦ラストの一戦。踏ん張りどころの一戦で、チーム、選手、サポーターが一体となって難敵を撃破し、上位へ向かいたい。

試合前日コメント

小菊昭雄監督

Q：大阪ダービーで勝利した価値について。また、試合後のロッカールームでは「鹿島に勝ちたい」という言葉も聞かれたが、改めて鹿島戦へ向けた思いについて

「ダービーは必ず勝たないといけない試合ですし、勝利という結果を得られたことが全てです。昨年もダービーで勝利してから一気にチームは上向き、成長スピードは上がりました。ダービーで結果を得たことで、積み上げていることをもう一度大切にしながら、同じ画を描きながら、よりやっていることを信じて取り組めます。昨日のトレーニングを見ても、改めてダービーのもつ1勝の重み、不思議な力を感じました。選手たちがより明るく引き締まった表情でプレーしている姿を見て、改めてダービー勝利の力を感じました。もちろん、課題もありましたが、勝ちながら修正していくことも大切です。そういった中で迎える鹿島戦ですが、最近、勝てていない鹿島にここで勝つことによって、さらに成長スピードは上がると確信しています。そのためにも明日は絶対に勝ちたい。内容も求めていきたい。試合後に笑顔で終われるように、全員で戦いたいと思います」

Q：近年、鹿島に苦しんでいる部分として、個々の強さで相手を上回れないことが挙げられると思います。明日は悪天候の予報もあり、さらにそうした要素も求められる試合になりそうだが？

「そうですね。鹿島に負けた試合の印象は、いい雰囲気、いい内容でゲームをコントロールできていたとしても、リスタート1発でやられる、カウンターで沈められる。内容は良くても勝ち切れない。その印象は強いです。もう一つは、球際のところですね。昨年のホームでも、雨の中でピッチコンディションが難しかったこともありますが、ことごとく球際で、コンタクトでやられ、セカンドボールを拾われてしまった。ただし、そうした課題に対し、私たちも練習の中からその要素を上げていくトレーニングを積んできました。その意味では、1年間しっかり鍛えてきた、取り組んできたことを明日はどれだけ発揮できるか。私自身も楽しみにしていますし、大きなポイントになると思います」

Q：鹿島は現在、鈴木優磨選手が4試合連続ゴール中だが、彼のプレーぶりをどう見ていますか？

「ゴールを決める能力も、ゲームを読む、コントロールする力にも長けている選手だと思います。鹿島は最初、少し苦労していた中でも彼が中心となってしっかりチームを立て直し、鹿島の伝統でもある[4-4-2]のスタイルにして、非常に勝負強いチームになっている印象があります。その中で、自分たちがいい時間にゲームを決め切る、そういった勝負強さが私たちにも必要になります。彼も含めてしっかり抑えながら、明日はピッチコンディションも含め、いかに賢くジャッジしていけるか、戦えるか、そこは大きなポイントになると思います」

Q：鹿島のCBは、セレッソの強みであるクロス対応にも強さを発揮しているが、そこでの攻防について

「私たちの強みであるサイド攻撃は、当然、相手もケアしてくると思います。私たちとしては、サイド攻撃に加えて、キャンプから取り組んでいる中央での崩しも大きなポイントになります。さらには、ニアゾーンをいかに攻略するか。同サイドだけではなく、逆サイドのニアゾーンをどう攻略するか。そういったところも全員で取り組んでいますので、攻撃のバランスもポイントになります」

Q：明日がJ1通算200試合になる山中選手。前節も決勝アシストを決めたが、彼の評価について

「亮輔のプレー、活躍はセレッソに来る前から見てきましたが。ここ1、2年でもさらに成長しています。攻守だけではなく、リーダーシップも含め、今もなお成長し続けている選手です。彼の能力からすれば、まだまだ良くなると思うので、私もその成長をサポートしていければと思います」

Q：連戦の中でも同じスタメンで臨んでいるが、現在のスタメンの良さをどう感じていますか？

「まず、システムを変えてトライしている中で、それぞれの思いの共有、攻守の戦術の共有が、同じメンバーで戦うことで浸透度は深くなります。ただし、明日は3連戦の3戦目になりますので、前節のダービーと同様、最初から100％で飛ばして、疲れた選手はバトンを渡す。そうした戦い方が、明日も大事になると思います」

山中亮輔選手

Q：明日は3連戦の3試合目。踏ん張りどころの一戦だが、今節に向けてチームとしてどうリカバリーできた？

「ほぼ回復の時間に充てました。連戦ということで、そちらがメインになりました。ダービーの勝利でチームの雰囲気もグッと良くなりましたが、明日も大事な試合です。相手も調子を上げていますし、ウチとしては、ホームでそういう相手にしっかり勝ちたいと思います」

Q：鹿島相手に重要になるポイントをどうイメージしていますか？

「わりとラフにロングボールを蹴ってくると思うので、そこでの競り合いや、セカンドボールの争い、簡単に蹴らせないことも大事になります。2トップは素晴らしい選手なので、そこに対してタイトにいければと思います」

Q：明日は雨の予報もあるが、雨の試合で心掛けていることはありますか？

「ピッチ状況で、水が含んでいるのか含んでいないかで、プレー選択も変わってきます。明日はだいぶ強く降る予報なので心配な部分もありますが、試合が始まる前にしっかり確認したいと思います」

Q：個人としては、シーズンの3分の1が終わった段階で3アシスト。自身キャリア最多の8アシストに向けて順調に来ているのでは？

「長い時間、試合に出させてもらっているので、もう少し数字は欲しいです。これからも数字は求めて、セレッソでキャリアハイを達成できるようにやっていきたいです。ゴールはまだ取れていないので、早く欲しいですし、ホームで取れたら一番いいと思います」

Q：明日は自身にとってJ1通算200試合目。もちろん通過点だと思いますが、積み重ねてきた数字をどう評価されますか？

「凄く嬉しいですし、節目として200という数字は、だいぶ積んできたなと思います。これから300、400と積んでいけるようにやっていきたいです。ポジション争いも激しいので、そこを譲らないように、必死でやっていきたいと思います」

Q：200試合の中で、特に印象に残っている試合はありますか？

「そうですね…（笑）。個人的には毎試合、必死でやっているので、特別1試合を挙げるのは難しいですね（苦笑）」

Q：先日、小菊監督は「長所の攻撃面だけではなく、守備での成長も見られる」と仰っていたが、自身では守備の部分はどう取り組んでいますか？

「そこは長い間、指摘されてきた部分ですし、特別、得意にしている部分ではないので。まずは自分のストロングである攻撃の部分を全面に出して、守備では悪目立ちしないことを意識しています。何より、長い時間を使ってもらっているので期待に応えたい気持ちも含め、ポジションを守る気持ちも含め、集中しているので、そうした意識がプラスに働いているのだと思います。あとは、周りにはハードワークしてくれる選手もいます。個人で守るのではなく、横のCBのトリ（鳥海晃司）や、前のタメ（為田大貴）もサポートしてくれます。個人の能力が上がったというより、周りのサポートも受けながら、経験を積んで周りも動かして守れるようになったことが大きいと思います」

Q：直近のリーグ戦では8試合連続フルタイム出場です。しっかりとしたケアもされている？

「僕だけではなく、周りのサポートがあってこそだと思います。家族もそうですし、トレーナー、監督、スタッフ、全ての方に感謝して、その人たちの思いも背負ってプレーしているので、感謝を伝えたいです」

Q：食事面などで、奥様に気を付けてもらっていることはありますか？

「揚げ物は控えてもらったり、調理の仕方も工夫してくれています。凄く有難いですし、何より美味しいので、そこが最高です（笑）」

Q：明日もご家族は試合に見に来られる？

「そうですね。毎試合、ホームの試合は来てくれますし、その応援も背負っていいプレーができるようにやっていきたいです」

Q：Jリーグ全体でも柏のアカデミー出身選手の活躍は目立ちますが、当時を振り返ると？

「レイソルのアカデミーで育ったことは誇りに思っています。 トップチームではあまり活躍できなかったですが、レイソルの育成出身ということは誇りに思ってプレーしています。素晴らしい先輩方がいて、素晴らしい後輩も育っています。これからもいい選手を輩出して欲しいなと思っています」

Q：鹿島の仲間隼斗選手は柏のアカデミーの1学年先輩だが、彼との対戦について

「苦労人だと思いますし、個人的には、何でトップに上がれなかったんだろうと思っていた選手です。なので、やっぱり上がってきたなという感じです。ハードワークや球際など、守備も含めて素晴らしい選手だと理解しているので、明日は活躍させないようにしたいです」

Q：ゴールデンウィーク3連戦、最後の試合です。サポーターも勝利を望んでいると思うが、改めて、ホームでどのような姿を見せたい？

「やっぱりホームで勝つことは大事ですし、今シーズンは勝ったり負けたりが続いているので、連勝したいです。幸いにも、首位ともまだ6ポイント差なので、まだまだ狙える位置にいます。連勝して上に行くことをサポーターの皆さんも期待していると思うので、それを体現できるように、プレーで見せていきたいと思います。勝利だけを求めて戦いたいです」

鹿島アントラーズ戦特設サイト