Match Preview
- 7/6 東京V戦
- メディア
入りがポイント。先制して主導権を握り、今季2度目の3連勝でさらなる上位を目指す
後半戦を連勝でスタートした前々節のサガン鳥栖戦、前節の名古屋グランパス戦を経て、今節、セレッソ大阪は後半戦としては最初のアウェイゲーム、東京ヴェルディとの明治安田J1リーグ第22節に臨む。
前節の名古屋戦は、前半最初のピンチをしのぐと、26分にレオ セアラが独力で持ち込んで先制。前半はそのまま相手を押し込んで終えると、後半の立ち上がりも相手の攻勢を受ける展開となったが、ここを無失点で耐えて、65分にルーカス フェルナンデスが追加点。その後、1失点こそ喫したが、最後は全員で粘り強くプレーして2-1で勝利。後半戦のスタートを連勝で飾り、リーグ戦の負けなしも7試合に伸ばした。「毎試合、対戦相手のストロングポイント、ウィークポイントは違う中で、しっかり我慢するところ、攻め切るところ、選手たちが時間帯を共有できていることが、7試合負けなしにつながっている」と小菊昭雄監督も話すように、ピッチに立つ選手たちが試合の流れを把握し、しっかりとゲームコントロールできていることが結果につながっている。また、連勝した2試合はいずれも前半に先制点を奪い、主導権を握ることに成功。相手の反撃をしのぎつつ、カウンターから何度もチャンスを作れている。そこで2点、3点と重ねていく力が付いてくれば、より確実に勝点3を得ていけるだけに、フィニッシュの精度は引き続き高めていきたい。今節も先手を取って試合を進めていくことが何より重要であり、「入り」(小菊監督)の部分を意識しながら、複数得点にもこだわりたい。
東京Vとは、前半戦は第3節にホームで戦い、2-1で勝利した。もっとも、決勝点は後半アディショナルタイムにレオ セアラが決めたPKであり、途中から1人少なくなった相手に苦しめられた印象も残っている。全員でハードワークして粘り強く戦うことがチーム全体に浸透しており、前線を中心に若手選手の成長も著しい東京V。「前回対戦時からシステムや戦い方は少し異なるところはありますが、ベースになる、全員がハードワークする、自己犠牲する、攻撃、守備の規律を全うする。そういったところは、より強固になっている」と小菊監督も印象を語る。東京Vは前節、ホームで横浜F・マリノスに2-1で勝利したが、試合開始から前への圧力が強く、入りで相手を圧倒。前半22分で2点を奪った。今節に関しても、「ハードワークを前面に出して、強い矢印で我々に襲い掛かってくる」(小菊監督)ことが予想されるだけに、その矢印をいかにかいくぐって攻撃の形を作るかがポイントになる。前節はレオ セアラ、ルーカス フェルナンデス、カピシャーバのブラジル籍選手トリオの活躍が光ったが、その3選手を攻守で操る上門知樹、田中駿汰、奥埜博亮ら日本人選手の貢献も見逃せない。上門は守備でのスイッチやプレスバックだけではなく、攻撃でも間受けと背後を使い分け、強力3トップがプレーしやすいスペースを作っている。ダブルボランチの2人も高い位置を取ってパスを差し込むだけではなく、自身もフィニッシュに出ていくなど、得点の匂いは増している。今節は、この3選手のゴールに関わるプレーにも期待したい。
前節の結果、2位との勝点差は『3』に縮まった。首位・FC町田ゼルビアとの勝点差こそ『8』のままだが、再び優勝争いのグループに戻ってきたことは間違いない。今節を含め、中断期間までの3試合の結果次第で見える景色はさらに変わっていく。「チーム全員で今年は優勝を目指して戦っている中で、アウェイでも勝てればさらに勢いは出る」と上門。攻守に成熟度が増してきた現在のチーム力を遺憾なく発揮すれば、勝点3は見えてくる。今季2度目の3連勝を達成し、さらなる上位を目指す。
試合前日コメント
小菊 昭雄監督
Q:東京ヴェルディとは第3節以来の対戦となるが、そこからも成長していると思います。現在の東京Vをどう見ているか。また、明日の試合でカギになることは?
「ヴェルディは前回対戦時からシステムや戦い方は少し異なるところはありますが、ベースになる、全員がハードワークする、自己犠牲する、攻撃、守備の規律を全うする。そういったところは、より強固になっている印象を受けています。個人それぞれに目を向けても、若い選手が経験を積んで、成長している素晴らしいチームだと思っています。明日(のポイント)は、入りのところですね。相手は前節、勝利して、しかもホームということで、ハードワークを前面に出して、強い矢印で我々に襲い掛かってくると思います。背後(を狙う)とともに、自分たちでボランチとサイドバックを基準にボールを動かす、相手を動かすことも大事です。遅攻と速攻の使い分け、守備でもハイライン、ハイプレスと、ブロックを組んでカウンターで仕留めるところ。その使い分け、ゲームプランが大事になると思います」
Q:逆に言えば、そうしたゲームコントロールが、ここ数試合はうまくできている?
「そうですね。毎試合、対戦相手のスタイル、ストロングポイント、ウィークポイントは違う中で、しっかり我慢するところ、攻め切るところ、選手たちが時間帯を共有できていることが、7試合負けなしにつながっていると思います」
Q:パリ五輪を戦うU-23日本代表に、西尾選手が選出されたことについて
「ここ数試合、チームが安定して負けなしでこれているのも、彼のパフォーマンス(の良さによる効果)は大きいです。素晴らしい貢献をしてくれています。やるべきことをやって、自分で勝ち取った結果だと思いますし、彼の努力に『おめでとう』という言葉を伝えたいです。クラブとしても、ジュニアユースからたくさんのサポーター、スタッフ、色んな人たちの愛情や努力で今の彼があると思いますので、クラブとしても、彼が五輪代表に入ったことは喜ばしいことです。たくさんの人がパリでの活躍を楽しみにしていると思いますので、メンバーに入ったことに満足することなく、パリで活躍して金メダルを取ること、そして、これからは日本代表を目指してどんどん成長して欲しいと思います」
Q:その西尾選手ですが、今年だけを見ても、開幕からここまでの成長を感じます。U-23日本代表での良い経験や悔しい経験も糧にされたと思いますが、クラブとしても成長を促せたことが大きいと思います。こういうところが変わってきた、良くなってきた、と思うことはありますか?
「どの選手もそうですが、私は選手の成長に人間性の成長は欠かせないと思っています。人間性がより深く、強く、逞しくなれた時に選手としても成長すると思っています。彼の場合も紆余曲折を経て、素晴らしい人間性に、より幅ができたことが、今のパフォーマンス、成長につながっていると思います。もう一つは、彼は堅実で正確なプレーをするタイプで、それが彼の良さでもありますが、その良さに加えて、リスクを取っていくことも大事だということは、彼とも共有してきました。ドリブルで運ぶ、相手の変化を意図的に起こす、キーパスを差していく。中央にパスを差すことはリスクもあるのですが、トライしていかないと、成長は深くなっていかない。元々、守備力は高く守備範囲は広い選手で、1対1の対応も含めて素晴らしいですが、ここ数ヶ月は攻撃面でのトライにより、幅が広がって、色んな選択肢を持てるようになった。それが武器を増やすことにもつながっています。これからも堅実さや正確性といった従来の良さに加えて、リスクを冒して相手を破壊していくビルドアップ、その両輪で成長して欲しいと思っています」
Q:「人間性の幅」という部分では、どのようなところで感じますか?
「元々、リーダーシップもある選手ですし、真面目にコツコツ積み上げることができる選手です。それに加えて、U-23アジアカップでの経験もあったと思いますが、ここ数ヶ月は、周りの選手たちに、それは試合に出ている、出ていない、経験が豊富な選手、少ない選手に関わらず、気配りができるようになりました。色んな状況に置かれている選手たちに、いいアドバイスをしたり、いい振る舞いができたり、そこは隆矢の成長を強く感じました。それがプレーの余裕やピッチでの気付きにもつながっていると思います。トレーニング中の言動だけではなく、オフ・ザ・ピッチの振る舞いも含め、人としても成長していると、近くにいて、ここ数ヶ月は強く感じています」
上門 知樹選手
Q:第18節・浦和レッズ戦の後半から出場し、直近は3試合連続でスタメンです。その間、チームは3勝1分と安定感が増してきたが、自身が心掛けているプレー、役割について
「まずは全体のバランスです。外国人選手3枚のプレスの嵌め方でバランスを取ったり、自分がスイッチを入れて全体を押し上げたり、そういう役割を守備では意識しています。前半はプレスに出て、後半は引く時間帯もありますが、前の選手たちをうまく動かして、タイミングを図って生かすことは、少しずつできるようになっています。プレスバックも常に意識していますし、チーム全員で汗をかいてハードワークできていることが勝利につながっていると思います。そこからショートカウンターも打てますし、まずは守備で試合をコントロールできていることが、最近、結果が出ている要因だと思います。攻撃でも、下からつないで安定してゲームをコントロールできています。決め切るところは僕も含めて課題はありますが、2点、3点と取れるチームになっていけば、より勝ちを増やしていけると思います」
Q:攻撃では、「間で受けるところ、背後を狙うところを使い分けている」という言葉もあったが?
「そうですね。基本的にレオ(セアラ)が真ん中で構えて、その周りを動くことが自分の役割。レオがフリーで受けるために自分が背後へランニングしたり、自分がいい場所で受けるために、一度、背後を見せることは意識しています。間で受ける動きと背後へ抜け出す動きはバランスを見ながらやっていますし、そこはチーム全体でも共有できています。最近は、動いたら、よりボールも出てくる。後ろの選手が、より前線の選手の動きを見てくれています。攻守において、チーム状況は良くなってきたと思います」
Q:足元だけにならず背後を狙うことが、今節、東京ヴェルディの守備を破るためにも必要?
「そこは監督もミーティングで仰っていましたが、それがなければ潰されてしまう。誰かが背後を取らないとスペースも生まれないですし、そういう動きがないと、チームはうまく回らない。そういう役割でチームのサポートもしつつ、自分自身も得点に絡んでいきたいです。ゴールを最初の優先順位においてプレーすることも意識しています」
Q:今季は新しく外国籍選手も入り、経験ある選手もいて競争は激しいですが、その中でポジションを取って、自身のパフォーマンスでチーム力を上げています。今のチャンスをどう捉えてプレーしていますか?
「セレッソに来て3年目ですし、監督がしたいサッカーは自分自身が一番理解しているつもりです。メディアの皆さんにも常に言っていますが、監督が求めるサッカーは、自分が一番体現できると思っています。その自信は常に持って試合にも臨んでいます。守備ももっと向上できると思いますし、ゴールも付いてくれば、より重宝される選手になっていけると思います。監督からも『あとはゴールだけ』と言っていただいたので、目に見える結果を出せれば、チームとしても個人としても、もっともっと上に行ける。そこだけを見て、次の試合もプレーしたいです」
Q:暑さも増してきたが、強度が高いプレーをする上で、体力的な部分については?
「僕自身、沖縄で過ごしてきたので、暑さに弱いわけではないですが、常に前から行くことは難しいので、行く、行かないのメリハリはしっかりして、前から行くのか、止めるのか、その判断は自分の役割としてもあると思うので、バランスも取りながらプレーしたいです」
Q:上位を目指す上でも大事な試合になる今節へ向けた意気込みについて
「前節、名古屋との大一番で、『ここで勝てば優勝争い、負ければ中位』と監督も仰っていましたが、そこで勝てたことは、まだまだ自分たちも優勝できるチームだということ。チーム全員で今年は優勝を目指して戦っている中で、アウェイでも勝てればさらに勢いは出ます。自分たちの今のサッカーを表現できれば、絶対に結果は付いてくると思うので、チームのためにやるだけかなと思います」