Match Review
- 7/24 ドルトムント戦
- メディア
柴山昌也、阪田澪哉にゴラッソが飛び出し猛追も、一歩及ばず、ドルトムントに惜敗
試合データ(選手・監督コメント/スタッツ)
https://www.cerezo.jp/matches/result/20240724/
7月24日、「EUROJAPAN CUP 2024」として、ドイツの強豪ボルシア・ドルトムントを迎えた一戦が行われた。23-24シーズンの欧州チャンピオンズリーグファイナリストに対し、試合の前日会見で小菊昭雄監督は、「世界有数のビッグクラブであるドルトムントと試合ができることを嬉しく思っています。明日の試合、選手たちには、世界基準のクオリティーを肌で感じながらも、怯むことなく、アグレッシブに戦う姿を強く求めたいと思います」と力強く語った。欧州でプレーした最初のクラブであり、リーグ連覇に貢献するなどセンセーショナルな活躍で、ドルトムントで一時代を築いた香川真司は、「僕にとって一言では表せられない大事なクラブ。そういったクラブと日本で対戦できることに、興奮しています」と満面の笑みを浮かべた。
登録メンバー全員がベンチ入りを果たした一戦。前半は、レオ セアラ、カピシャーバ、奥埜博亮、鳥海晃司、キム ジンヒョンら、リーグ戦でも主力として出場している選手中心の構成となった。立ち上がりはセレッソペースで試合は進む。高い位置からプレスをかけて、ドルトムントのビルドアップを封じると、8分には、セアラの落としを受けた奥埜がミドルシュートで相手ゴールを脅かす。ヴィトール ブエノのスルーパスやカピシャーバの突破など、随所に攻撃陣も持ち味を発揮したが、15分過ぎからドルトムントにボールを支配され、自陣に押し込まれた状態になる。すると26分、左右のクロスで揺さぶられ、失点。ここから飲水タイムを挟み、ドルトムントの攻撃が加速する。29分、セレッソは高い位置で奪われてカウンターを受けると、ドルトムントの左ウィング、ジェイミー バイノー=ギッテンスにボールを運ばれ、カットインからファーサイドへ正確で豪快なワールドクラスの一撃を決められた。1分後にも、今度は逆サイドのウィング、カリム アデイェミに背後に抜け出され、3失点目。どちらも対応に当たったのが、今季初出場となった進藤亮佑。復帰戦が世界基準の相手となる難しい状況の中、「相手もプレシーズンでコンディションは万全ではなかったと思いますが、余裕を見せ付けられました」と反省の弁を残しつつ、「サッカーができる体になって、こういう戦いの場所に戻って来られたことが嬉しいです」と前を向いた。
大きくメンバーを入れ替えて臨んだ後半は、若手主体の構成となった中、セレッソは攻守にアグレッシブな姿勢を見せる。開始早々の49分、ドルトムントの決定機をGK清水圭介が阻止。このシュートが決まって4点差になっていれば厳しい状況に追い込まれただけに、大きなセーブとなった。上門知樹や北野颯太、柴山昌也ら前線の選手が躍動する中、53分には、先日加入が発表されたばかりの髙橋仁胡も出場。セレッソデビューを飾った。すると早速、球際での力強い守備、果敢な攻撃参加と持ち味を発揮。セレッソに流れを引き寄せると、62分、この日の主役、香川真司が交代で出場。この日一番の歓声がスタジアムから送られた中、「とにかく点を取りにいく姿勢を見せていけたら」との決意でピッチに入った背番号8を中心に、セレッソが猛反撃を開始。66分、舩木翔の縦パスを受けた香川が右サイドへ展開。阪田澪哉、柴山、山﨑凌吾、上門とつなぎ、最後は左のスペースへ飛び出した北野がフィニッシュ。シュートはGKとDFに阻まれたが、その跳ね返りを柴山がダイレクトで蹴り込み、1点を返した。直近のリーグ戦では好機を作りながらもネットを揺らすことができずにいただけに、「自分にとって大きなゴール」(柴山)になった。
さらに70分に北野、72分には柴山と、それぞれ際どいコースを突いたシュートを放つも、ここはGKに防がれる。それでもセレッソの攻勢は止まらない。73分、CKの2次攻撃から、喜田陽のサイドチェンジを受けた田中駿汰が胸で落とすと、受けた阪田が縦に突破。鋭いフェイントでDFをかわして切り返し、左足でニア上を射抜く見事なミドルシュートを決めた。前半のドルトムントのゴールに勝るとも劣らないゴラッソに、スタジアムは大歓声に包まれた。終盤は打ち合いの様相を呈する中、セレッソもカウンターからピンチを招くも、ドルトムントに追加点は許さない。すると87分、再び香川を起点に中央を崩し、山﨑のスルーパスに抜け出した上門がペナルティーエリア内で相手選手に倒されたが、笛はならず。試合はこのまま2-3で終了。反撃も一歩及ばず、セレッソはドルトムントに敗れた。それでも、ゴール前のシーンが多い見応えたっぷりの白熱した一戦に、集まった両チームのサポーターから大きな拍手が送られると、香川もドルトムントのスタッフ、選手と旧交を温め、試合後は場内を一周。当時のドルトムントのユニフォームを掲げるサポーターも多数、見受けられた。「自分にとって刺激的な2日間でした。ドルトムントがこうして日本に来てくれて試合ができたことに感謝したいです。この絆は永遠でしょうし、彼らからもそういう言葉もかけてもらって感謝しています」と自身にとって“特別な2日間”を振り返るとともに、「現役選手としてまだプレーしています。そこに対してまたフォーカスして、やっていきたい」とセレッソの選手としての今後の戦いに思いを向けた。守備の課題に若手の台頭など収穫も得た一戦を受け、「今日はたくさんの発見があった。オフ明けのトレーニングが今から楽しみ」と小菊監督。“世界基準”を肌で感じたこの一戦を糧に、“勝負の8月”へ臨む。