Match Review
- 10/2 G大阪戦
- メディア
開始から攻守に圧倒し、大阪ダービーに快勝。アカデミー出身、北野颯太のパスから西尾隆矢が決勝点
試合データ(選手・監督コメント/スタッツ)
https://www.cerezo.jp/matches/result/2024100212/
台風10号の影響により延期になった明治安田J1リーグ第29節。セレッソ大阪は、ガンバ大阪との大阪ダービーに臨んだ。平日の夜にもかかわらず、試合前から両チームのサポーターが作り出す熱気は凄まじく、すでに雰囲気は“出来上がった”状態でキックオフを迎えた。先発は直近の柏レイソル戦から1人変更。鳥海晃司が外れて奥埜博亮が入り、田中駿汰が3バックの一角に入る3-4-2-1でスタートした。
セレッソサポーターの作り出す「PRIDE」のコレオが浮かび上がる中、引き締まった表情で入場した選手たちは、試合開始からガンバを圧倒する。ボールを握り、ワイドの幅もうまく使って押し込むと、8分、CKから進藤亮佑がクロスバーに当たるヘディングシュートを放つ。17分には、この試合、最初の決定機。柏戦に続いて大阪ダービーでも先発起用された阪田澪哉がドルブルで中へカットイン、北野颯太がヒールで流すとレオ セアラがGKと1対1になるも、やや角度がなく、シュートは一森純に防がれた。19分には素早い攻守の切り替えから高い位置で奪い、北野がミドルシュート。積極的にゴールを狙う。28分にもセアラに決定機。進藤が攻撃的な守備で奪ったところから、奥埜、喜田陽、ルーカス フェルナンデスとつなぎ、最後はペナルティーエリア内でセアラが相手DFを巧みに交わしてシュート。ただし、ここも一森の好セーブに阻まれた。扇原貴宏、永井龍と同期でセレッソのアカデミー出身、現在は青黒のゴールを守る守護神の壁を破れず無得点で終わった前半だが、内容的にはセレッソが完璧に試合を支配。前線からのプレスで相手の前進を許さず、ロングボールやクサビに対しても3バックが厳しく対応。中盤でのセカンドボール争いでも上回り、前半、ガンバに許したシュートはゼロだった。
「前半は良い入りもできて、自分たちが主導権を握った中で、ハーフタイムには小菊監督も『試合展開はパーフェクト』と仰っていました。あとは決めるだけ」(西尾)と臨んだ後半。欲しかった先制点を開始早々に奪うことに成功する。48分、阪田がファウルを受けて獲得したFKで、フェルナンデスがニアへ低いキックを送ると、いち早く反応した北野が巧みなトラップから前に運ぶと、ボールの軌道の先にいた西尾が右足を振り抜き、ネットを揺らした。「本能で打った」という桜の生え抜きDFの一撃にヨドコウ桜スタジアムは沸騰。雄叫びともにジャンピングガッツポーズで喜びを表現した背番号33に大歓声が送られた。55分には、FKのセカンドボールから最後は喜田が強烈なミドルシュート。64分にも、高い位置でカットした北野がロングシュート。果敢にゴールを狙う積極性は後半も変わらなかったが、前半から飛ばした分、後半の途中からは全体がやや間延び。生まれたスペースで宇佐美貴史にボールを収められ、ガンバの攻撃も受けたが、後半も相手の枠内シュートはゼロ。82分、自陣右サイドをウェルトンに抜け出され、ネットを揺らされた場面はヒヤリとしたが、オフサイドでゴールは認められず、事なきを得た。
終盤は前線の3選手を交代。開始からフルスロットルで攻守に走ったセアラ、フェルナンデス、北野に代えて、山﨑凌吾、カピシャーバ、上門知樹を投入。上門は入った直後に直接FKでゴールを脅かすなど見せ場を作ると、山﨑は前線で時間を作り、カピシャーバもタックルで相手の攻撃を阻止。今一度、攻守を引き締め直すと、後半アディショナルタイムはCBも上げてパワープレーを仕掛けてきたガンバの攻撃を最後までシャットアウト。「相手のやりたいことを封じて、自分たちがやりたいことができた」と田中も振り返る会心の内容で、見事、J1リーグ48度目の大阪ダービーを制した。「シーズンを頑張っている理由がこの瞬間のためにあるなと、改めて感じた」とは、この試合ではキャプテンマークを巻いて奮闘した進藤。38分の1ではない特別な一戦で、セレッソが大阪ダービー史に残る快勝を収めた。