Match Preview
- 11/30 鹿島戦
- メディア
万感の思いで迎えるホーム最終戦。それぞれの思いも胸に、勝利だけを目指して戦い抜く
田中駿汰の決勝点で勝利した前節のアビスパ福岡戦から3週間。セレッソ大阪は、今シーズンのホーム最終戦となる鹿島アントラーズとの明治安田J1リーグ第37節に挑む。一つでも上の順位で終えるため、また、今シーズンをもって退任が決まっている小菊昭雄監督、さらには今シーズンをもって現役引退が発表されている山下達也の花道を飾るため、何としても勝利で終えたい一戦だ。
今節に向けて、「ホーム最終戦は、シーズンを通してたくさんの方に来ていただいた感謝を示す試合。出る選手、出ない選手、関係なく、勝利に向かっていい準備をしないといけない。全員で一つになって戦って、勝って終わりたい」と話したのは、若きリーダー西尾隆矢。かつて2021シーズンには大久保嘉人さんのホームラストマッチで87分に決勝点を挙げる大仕事をやってのけたこともあるが、今節もまた特別な思いで臨む。
「アカデミー時代、僕がトップチームの選手で真っ先に格好いいと思った選手が山下さん。実際に一緒のチームになって、プレーだけではなく、ピッチ外の立ち振る舞いも見て、男の中の男というか、男が惚れる感じでした(笑)。本当に色んなことを学ばせてもらいました。このチームにとって、山下さんの存在は凄く大きかった。練習から常に100%以上を出しますし、高め合う雰囲気も作ってくれます。そういう姿勢を見せてくれるからこそ、若手はサボれない。チームが苦しい時に、みんなを集めてミーティングで話してくれた言葉で救われたこともありました」と、背番号23の存在の大きさを語り、「自分も山下さんに認めてもらえる男になれるように、魂を受け継ぎたい。今後は僕ら若い世代がセレッソを引っ張っていかないといけないと思っています」と後継者に名乗りを挙げた。
今シーズンは終盤に定位置を確保し、来シーズン一層の飛躍が期待される北野颯太には、その来季につなげるプレーをピッチで表現して欲しい。「ホーム最終戦は今年1年の集大成でもあるし、ファン・サポーターの皆さんのためにも、勝って締めたい。その力になれるように頑張りたい」と意気込む。常々、「セレッソの未来を背負う選手」と指揮官からの期待も受けてきた。「小菊さんとできる試合も残り2試合で、ホームでは最後。寂しい思いもあるので、懸ける思いは違う。それをプレーで表現できればと思います」と恩師に捧げるゴールも誓う。鹿島は直近のリーグ戦4試合で1失点と守備は堅い。セレッソとしては、そうした相手の堅守をどうこじ開けるかが問われる。「常に前に、中央を崩すことは、最近は強く求めている。ボランチを基準にビルドアップで運んだ先に、ゾーン3の中央突破。そこは強く求めてきた。クオリティーやイメージの共有が増してきた手応えはある」。直近の2シーズンは攻撃の成長を重点的に取り組んできた。その成果を最後に発揮したい。
現役選手として最後のホームゲームとなる今節に臨む山下は、試合前日はリラックスした表情だった。森島寛晃社長の現役時代のラストゲームなど、過去にも様々なドラマが生まれてきたシチュエーションだが、「自分がピッチに立ちたい気持ちより、チームの勝利が一番だと思っている、僕が知っているヤマちゃんは、そういう選手」と山下の心中を察するのは、山下と同学年で、チームの良い時期も苦しい時期も共有してきたGKキム ジンヒョン。勝利という大きな目標に向かって戦い抜いた先に、最後にどう、ヨドコウ桜スタジアムのピッチを刻むか。
「勝っている状況で試合に出て、素晴らしい終わり方をして欲しい。セレッソのために戦い続けた選手であり、それにふさわしい終わり方をして欲しい。ヤマをふさわしい形で送り出すこと。それが今節に臨む大きなモチベーション。ファン、サポーターも同じ気持ちだと思うので、当日はいい雰囲気で戦えると思う」とは、山下と同期加入、香川真司の言葉だ。万感の思いで迎える今シーズンのホーム最終戦。これまでクラブのために戦い続けた偉大なCBの勇姿を、しっかりと見届けたい。
試合前日コメント
小菊 昭雄監督
Q:今シーズンのホーム最終戦であり、自身のホーム最後の采配となる今節・鹿島アントラーズ戦へ向けた心境について
「いつもと変わりなく、選手たちは精一杯の準備をしてくれました。100%の準備ができて、心穏やかに時を迎えている、という心境です」
Q:特別な気持ちは、試合が終わった後になりますか?
「そうですね。今、特別に違う感情があるかと聞かれると、そういう感情はなくて、毎試合と同様、明日も勝ちたい、そういう思いの中で準備してきました。いつもの試合前と同じく、しっかりと準備できた安堵感と、ここから試合に向けた高揚感も出てくると思いますが、そこはいつも通りの心境です」
Q:対鹿島の部分も踏まえて、今節に向けてどのようなことを重点的に準備されてきた?
「ホーム最終戦、相手が鹿島ということで、一番いいタイミングで鹿島とできることを嬉しく思います。というのも、なかなかホームでは鹿島に勝てていません。鹿島に勝って、私も一区切りつけたいと思いますし、サポーターの皆様にも成長した姿を結果で示したいと思います。その結果を得るためにも、勝負強い鹿島をどうこじ開けていくか。セットプレーの攻防も大事になります。攻撃、守備、セットプレーと、鹿島をしっかり分析して、ストロングとウィークを理解した中で、しっかりと対策してきました」
キム ジンヒョン選手
Q:ホーム最終戦となる今節・鹿島戦に臨む意気込みについて
「毎シーズン、ホーム最終戦はやって来ますが、シーズンのスタートと同様、締め方は大事にしたいです。ただし、いつもと変わらず、同じ気持ちで戦いたいと思います」
Q:失点が増えた時期もあったが、最近は守備が安定してきた様子も見られます。安定した戦いができている手応えもありますか?
「そうですね。一時期、失点は増えましたが、進藤も復帰して、だいぶ安定してきたところはあります。戦術(やシステム)も変えながら、みんなの守備の意識も高くできていると思います。全体が噛み合ってきたので、失点も減らせているのだと思います」
Q:同学年で、良い時期も苦しい時期も共に戦ってきた山下選手は、ジンヒョン選手にとって、どのような存在ですか?
「ヤマちゃんは、一番大事な存在です。ここまで選手としても存在感の大きな選手でしたし、サッカー以外のところでも、人として尊敬できるメンタリティー、人間性を持っています。色んなことを考えて、このチームに凄く影響を与えてきた選手だと思っています。ヤマちゃんが作ってきた自分の道ですが、自分の道だけではなく、ヤマちゃんの力でチームもここまで大きくなった。もちろん、まだまだ強くならないといけないですが、ここまで強くなれたのは、ヤマちゃんの存在が大きかったと思います」
Q:試合の流れもあると思いますが、どういう終わり方をして欲しいですか?
「ヤマちゃんは、自分がピッチに立ちたい気持ちより、チームの勝利が一番だと思っている、僕が知っているヤマちゃんは、そういう選手です。ヤマちゃんのホーム最後の試合ですが、勝利だけを考えてプレーしたいと思います」
山下 達也選手
Q:今節に臨む思いを聞かせて下さい
「この刺激的な世界で選手として迎える最後のホームゲームなので、感慨深いですね。ただ、次の試合もいつも通りの大事な試合ではあるので、その中の一つ、というメンタルで試合には臨もうと思っています」
Q:今節を迎える準備としては、「やれるだけのことはやった」という心境ですか?
「トレーナー陣には本当にお世話になりました。ちょっと動くと足に張りが出るような感じがずっと続いていたので、調整は難しかったですが、何とか試合に少し出られるぐらいの体には持って来れたかなと思います」