Match Review
- 4/12 鹿島戦
- メディア
5度のオフサイドによるゴール取り消しとPK失敗にも下を向かずに攻め続けた“パパス・セレッソ”が15年ぶりのホーム鹿島戦勝利
試合データ(選手・監督コメント/スタッツ)
https://www.cerezo.jp/matches/result/2025041206/
前節のサンフレッチェ広島戦から中5日。セレッソ大阪は、ホームに戻り鹿島アントラーズとの明治安田J1リーグ第10節に臨んだ。先発は広島戦から1人変更。GKキム ジンヒョンに代わり、前々節のファジアーノ岡山戦で脳震盪による交代でピッチを離れた福井光輝が2試合ぶりに戻った。
良くなってきた内容を結果につなげたい今節。セレッソは前半からボールを握り、試合を支配。4分、奥田勇斗、田中駿汰、ルーカス フェルナンデスとつないで右サイドを崩すと、最後は北野颯太が縦に突破してクロス。惜しくも中の選手とは合わなかったが、早速、鹿島ゴールに迫る。8分には鹿島に最初のシュートを許したが、福井がしっかりキャッチ。9分には左サイドから攻撃。チアゴ アンドラーデのクロスにラファエル ハットンが飛び込みチャンス。ここで得たCKから田中がヘディングシュートを放つ。23分には、FKのこぼれ球を北野がダイレクトでシュート。惜しくもクロスバーを越えたが、果敢にゴールを狙った。この試合では攻から守への切り替えも早く、鹿島に攻撃を許さない。鈴木優磨、レオ セアラの強力2トップも進藤亮佑、西尾隆矢を中心にしっかり競って、ボールを入れさせなかった。44分には進藤がボール奪取から持ち上がり、波状攻撃を仕掛けると、45分には左サイドを崩し、登里享平のクロスに中島元彦が合わせて決定機も、シュートはクロスバーを越えた。前半、鹿島に許したシュートは2本のみ。しっかりボールを握りつつ、試合をコントロールして前半を終えた。
後半は予測不能でドラマチックな展開が待っていた。最初の決定機こそ鹿島に許したが、シュートは枠を外れて事なきを得ると、ここからセレッソが鹿島ゴールに襲い掛かる。55分、CKの流れからルーカスのクロスをハットンがヘディングで合わせてネットを揺らしたが、VARの介入によりオフサイドの判定でノーゴールに。65分には北野がプレスバックでボールを奪い、素早く前線のハットンへスルーパス。ハットンが中央へ折り返してルーカスがネットを揺らしたが、北野のパスを受けたハットンの位置がわずかにオフサイド。続く67分、今度はルーカスのFKから進藤が頭で合わせたが、ここもVARの介入によりオフサイドとなり、三度、得点は取り消された。74分には奥田のパスを受けたハットンがチアゴとのワンツーからシュート。決定機を作ったが、鹿島GK早川友基の好セーブに阻まれた。80分、前節、セレッソデビューを果たした本間至恩が投入されると、再び左サイドが活性化。88分には本間のパスを受けた北野がシュート。これがラストプレーとなった北野。今節も果敢にゴールに迫り、攻守に出色のプレーを見せたが、最も欲していたゴールは奪えず、悔しそうな表情でピッチを後にした。北野と代わって入ったのは香川真司。15年前の2010年、最後にホームで鹿島に勝った試合でゴールを決めた背番号8が「チームを勝たせて来い」というアーサー パパス監督の言葉とともにピッチに送り出された。
90分にはその香川のパスを受けた田中に決定機が訪れると、後半アディショナルタイムにはセレッソが連続してネットを揺らしたが、ここでも2度ともオフサイドでゴールは取り消しに。どうしても1点が遠い中、90+7分、本間のパスを受けたルーカスがペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。この絶好機にキッカーはハットン。ただし、左スミを狙ったキックは相手GKの好守に防がれてしまう。ただし、「次のCKで決まりそうな雰囲気はあった。誰一人、諦めていなかったです」と試合後にキャプテンの田中も振り返った通り、PK失敗の直後に得たCKからセレッソが先制に成功する。ルーカスのキックを中でセアラがクリアし切れずファーに流れたボールに詰めていた進藤が押し込み、ついにセレッソがゴールを記録。直後にヒヤリとする場面こそあったが、最後まで集中したプレーを続けて1-0で勝ち切った。5度のオフサイドによるゴール取り消しがある苦しい展開だったが、「難しい状況が何回繰り返されても立ち向かっていく姿勢は素晴らしかった」と試合後に指揮官も賛辞を送ったように、選手たちは誰一人諦めることなく最後まで攻め続け、重かったホーム鹿島戦の扉をこじ開けた。「人生のドーパミンが全部出た」とはヒーローの進藤。守備でも西尾、福井らと今シーズン初の無失点を達成。内容と結果が伴った勝利で今後へ向けた自信も大きく膨らんだ一戦になったことは間違いない。「ボス(パパス監督)のサッカーをやり続けていたら戦えるという自信は付いたので、信じてやり続けるだけ」とは田中。“15年ぶり勝利”をさらなる力に変えて、中3日でのカップ戦、さらには今後のリーグ戦へ向けて、再びチーム一丸で突き進んでいきたい。