Match Review
- 4/16 FC今治戦
- メディア
終了直前、奥田勇斗が劇的な決勝点。公式戦では初対戦となったFC今治との120分の激闘を制し、ルヴァンカップ3回戦進出を果たす
試合データ(選手・監督コメント/スタッツ)
https://www.cerezo.jp/matches/result/2025041607/
直近のリーグ戦、劇的な勝利を飾った明治安田J1リーグ第10節・鹿島アントラーズ戦から中3日。大会をJリーグYBCルヴァンカップに移し、セレッソ大阪はFC今治との1stラウンド2回戦に臨んだ。今治とは練習試合では何度も対戦しているが、公式戦で対戦するのは今回が初となった。
先発は鹿島戦から西尾隆矢を除く10人を変更。この試合から中3日でリーグ戦の次節・FC東京戦を控えている日程もあり、アーサー パパス監督は大幅な入れ替えを決断した。ただし、そうした入れ替えがあっても、現在のセレッソが目指す攻撃的な戦いは不変。開始7分、阪田澪哉のスルーパスに抜け出したジャルンサック ウォンコーンがGKとの1対1を迎える決定機。加入後公式戦初先発を果たしたジャルンサックが早速見せ場を作ると、12分、セレッソが先制に成功。髙橋仁胡の縦パスを受けた香川真司が喜田陽に落とし、喜田が中央へ差し込み好機を拡大。ヴィトール ブエノが運んで右サイドへ展開すると、ジャルンサックの折り返しをブエノがうまく合わせてネットを揺らした。一連の流れのような攻撃は見事であり、3分後の15分にも追加点。今度は髙橋が左サイドをドリブルで運ぶと、一度は奪われたが、この試合はワントップで先発した上門知樹がすぐさま奪い返してショートカウンターを発動。左サイドへ走る柴山昌也へパスを送り、柴山が縦に突破してクロス。逆サイドから飛び込んだジャルンサックが合わせた。待望の加入後初ゴールに試合後、ジャルンサックは、「パパス監督、チームメイトの皆さんに感謝したい」と笑顔を浮かべた。リーグ戦からメンバーが替わった中でもチームとして意図を持った崩しで2発。完璧な入りを見せた中で、試合の雲行きが怪しくなってきたのは30分の前あたりから。28分、阪田が自陣で奪われて迎えたピンチはGKキム ジンヒョンが好セーブでしのいだが、31分、今度はジンヒョンが縦に差したパスを奪われたところから与えたCKで失点。ニアでうまく決められた。前から奪いに来るプレスの勢いが増した今治に対し、セレッソは立て直す時間を作れず連続失点。33分、自陣での喜田、舩木翔のパス交換がズレて奪われると、そこからすぐにクロスを入れられ、慌てて前に出てきたジンヒョンが相手選手を倒してPKを献上。これを決められ、瞬く間に同点に追い付かれた。「2-0でスタートしたなら、もっと試合をうまくコントロールしないといけない。チームとしての未熟さが出てしまった」(香川)ことはこの試合における大きな反省材料だ。
後半も開始早々、自陣右サイドでボールを失うと、クロスをファーで折り返され、中でヘディングを決められ、勝ち越しを許してしまった。幸先良く2点を取ったがゆえに生まれた隙。「点を入れた後に自分たちのペースがゆっくりした時に、相手に流れを持っていかれた」と指揮官も振り返る“魔の時間帯“だった。その後も前半に見せたようなパスワークを発揮できず、今治の攻勢に押されてあわや4失点目かというピンチもあったが、体を張って防ぐと後半の中盤から終盤にかけて、再びセレッソが試合の主導権を奪い返す。そうした流れの中で、74分、パパス監督は3枚替えを決断。ラファエル ハットン、ルーカス フェルナンデス、奥田勇斗を投入し、同点、逆転を目指すと79分、右サイドで柴山のパスを受けたブエノが足をかけられPKを獲得。香川真司が落ち着いて決めて、80分、セレッソが同点に追い付いた。
試合は3-3のまま延長戦に突入すると、延長前半、よりチャンスを作ったのは今治。ただし、2度の決定機をいずれもジンヒョンが好セーブで守ると、延長後半はセレッソが押し返す。114分にルーカス、117分に北野颯太が迎えた決定機こそ仕留めることはできなかったが、118分にネットを揺らす。髙橋と北野で左サイドを崩し、北野のクロスがDFにクリアされたこぼれ球にいち早く反応した奥田が抑えの利いたミドルシュートを叩き込み、土壇場でセレッソが再逆転に成功した。「このチームが成長したなと感じたことは、トレーニングでやってきたことを難しい展開になっても続けられたこと」とパパス監督。もちろん、2点を先取した流れ、序盤の内容を考えると、自ら試合を難しくした感も残ったが、ここまでJ2リーグ9試合でわずか1敗と好調の今治の実力が本物で「難しい相手」(ブエノ)だったことも確か。「全体として、もっと成長していくべきところも見えたゲーム」とパパス監督は課題も挙げながら、「最後の最後に点を取ることも多くなってきたことは、チームのスピリットの成長」と称えた。中3日で迎えるリーグ戦の次節・FC東京戦へ向けて回復に務め、「勢いに乗ったまま」(奥田)リーグ戦の連勝、公式戦3連勝を目指す。