Match Preview
- 4/25 東京V戦
- メディア
大型連戦をいい形でスタートさせたい今節。掴んでいる手応えをより大きくしていくためにも勝利が求められる
押し込みながらも引き分けに終わった前節のFC東京戦から中4日。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、東京ヴェルディとの明治安田J1リーグ第12節に挑む。苦しんだシーズン序盤を経て、内容が上向いてきた今だからこそ、掴んでいる手応えをより大きくしていくためにも、勝利が求められる一戦だ。
今シーズン初のリーグ戦での連勝を目指して臨んだ前節は、開始6分、幸先よくラファエル ハットンが先制点を決め、その後も立て続けに決定機を迎えるなど、良い入りを見せたセレッソだったが、FC東京にワンチャンスを生かされ、19分、PKから同点に追い付かれてしまう。それでも、概ね試合の主導権は握った中で前半を終えると、後半は、より相手コートで試合を進める時間が続き、決定機も何度も作った。ただし、ゴール前での冷静さを欠いて仕留めるには至らず、勝ち越しゴールは奪えなかった。「あれだけチャンスを作ったことを思えば、勝利につながって然るべき試合でした。勝利に価する内容だったと思うので、本当に悔しい」と試合を振り返ったのは先制点をアシストしたルーカス フェルナンデスだが、まさにチームとしても悔やまれる引き分けに終わった。もっとも、前々節の鹿島アントラーズ戦に続き、攻守で相手を圧倒する時間帯を多く作れたことは収穫であり、アーサー パパス監督の求めるサッカーが浸透してきたことが改めて伺えた。シーズン序盤は課題になっていた守備でも改善の兆しが見られ、前節は前からの連動したプレスでボールを奪うシーンも多く、プレスを外された後の相手のカウンターにもしっかり対処。「守備の選手も含めて、今年の目指すサッカーを理解しながらプレーできている」と西尾隆矢も手応えを語る。課題としては、先制後に2点、3点と畳み掛ける決定力。また、ビルドアップの過程でボールを失う回数を減らしていくことも求めていきたい。
対戦相手の東京Vは、昨シーズン、16年ぶりに戻ってきたJ1の舞台で6位と大健闘。チームとしてのまとまりや戦う姿勢は非常に印象的だった。元々、持っている個々の技術の高さをベースに、城福浩監督の指導のもと、強度と走力も上積みされて、非常に組織的でハードワークできる集団になっている。特に選手全員が規律正しく行う守備は強固であり、前線からもプレスも激しい。セレッソとしては、まずはそうした相手のプレスをいかに外してボールを運ぶか、さらに、運んだ先でいかに相手を崩してゴールを奪うか。東京Vの守備を打ち破る攻撃力が求められる。もっとも、そこは今シーズン、始動から一貫して取り組んでいるテーマであり、ここ数試合、相手を崩す攻撃の質は高まっている。今節も1試合を通して攻撃的な姿勢を発揮して、何度もトライしていくことが重要だ。その上で、前節も含めて課題となった、「ゴール前で、より良い判断をする」(パパス監督)ことが今節のテーマであり、「絶対に決めるという責任感を一人一人が持って、試合を終わらせにいくことにこだわる」(香川真司)メンタルを強く持って臨みたい。守備では、相手のロングボールにしっかり対応し、そのこぼれ球も拾うことで、試合の主導権を握りたい。「全員がハードワークしてくるチームなので、相手の勢いに飲まれないように試合に入ることが大事」(西尾)になる。
今節からゴールデンウイークの連戦がスタートするJリーグ。選手個々のコンディション管理も重要になり、サブの選手も含めたチームの総合力が問われる戦いにもなっていく。いい形で連戦に入っていくためにも、その初戦となる今節を勝利で飾り、アウェイに駆け付けてくれるサポーターと喜びを分かち合いたい。
試合前日コメント
アーサー パパス監督
Q:ここから気温も上がり、連戦に突入します。選手のマネジメントがより重要になる?
「そうですね。ここから連戦が始まるので、どう選手たちを管理するかはカギになります。連戦と向き合って、自分自身、しっかりと選手たちのコンディションを管理できるようにしていきたいです。今節のヴェルディ戦でしっかりといい結果を出して、その後の連戦にも、いい影響を与えていくことが大事になります」
Q:前節の試合後、「ゴール前に入っていった後の判断は、もっともっといいモノにしていかないといけない」というコメントもありましたが、前節から今節までの間、練習も含めて選手たちに何かアプローチされた部分はありますか?
「選手に対しては、個人で面談をしたり、映像を見せたりしながら、起こっている状況や、やるべきプレーを確認しています。トレーニングの中でも、発揮すべきことはピッチの中で伝えています。あとは選手を信じて、しっかりと決め切れるようにやっていくだけですね」
西尾 隆矢選手
Q:前節のFC東京戦ではPKを与えるシーンもあったが、整理は付いている?
「あの場面に関しては、僕が少し焦ってしまったところもありました。PKになった時点で切り替えるしかないと思ったので、その後も引きずってはいません」
Q:ルヴァンカップを含めてフル出場が続いています。コンディション的には大変な部分もあると思うが、意気に感じる部分も?
「そうですね。もちろん、連戦になれば疲れは溜まりますが、どのチームも、どの選手も同じなので。僕自身、起用していただいていることに感謝していますし、試合に出ることは当たり前ではない、という思いは常に持ち続けています。試合に出ているからには100%以上の力を発揮して、結果も出さないといけない。その責任は感じています。それは連戦であろうが関係ないと思っています。連戦でも使い続けてくれていることに対して、有難いことだと受け止めて、もっともっと結果にこだわりたいと思います」
Q:ここ数試合、攻撃だけではなく、守備も含めて監督が求めるサッカーがピッチで発揮されていると思うが?
「そうですね。今年はボールを大事にしながら前に速く、攻撃的なサッカーを重視していますが、守備の選手も含めて理解しながらプレーできています。前に人数をかけるからこそ、カウンターを受ける場面もありますが、ディフェンスラインでもリスク管理の部分は整理できています。監督も『自分たちのスタイルは曲げない。点差がどうであれ、やり続ける』とずっと言っていますが、それを選手全員が示せていると思うので、最近は結果につながっていると思います。決定的なチャンスも増えています。もちろん、決め切る課題もありますが、そこをネガティブには考えてはいません。前の選手たちに点を取る力があることは練習の中から分かっているので、信じていますし、守備の選手としては失点しないことを考えて、今のサッカーをやり続けるだけだと思っています」
Q:監督のサッカーが浸透するにつれて、西尾選手自身、縦に付けるパスやサイドチェンジなど、後ろから配球する質も上がっているように思うが、 個人としての手応えは?
「今シーズンは、よりボールを大事にするサッカーに取り組んでいる中で、いいパスを前に入れることは監督も求めているプレーですし、後ろでロストせず、前につなぐことは意識しています。トライする回数も増えていますし、テンポよく前に付けることは意識しています。まだまだ改善するところはありますが、少なからず成長していると思うので、続けていくことが大事だと思っています」
Q:つなぎの部分で狙われてカウンターを受けるシーンもありますが、心の持ち方としては、恐れず続けていく、ということですね。
「もちろん、1試合を通してカウンターを食らう回数が昨年より増えているかもしれないですが、そこは守備の能力の見せ所でもありますし、しっかり守れる力を付ければ、今のサッカーをより発揮できて、結果も付いてくると思います。ディフェンスライン全員でリスク管理をしっかりして、統率していければと思います」
Q:パパス監督になったことで、新たに取り入れたことは?
「監督が代われば戦術も変わります。パパス監督のもと、自分としても、キャリアの中で新たな戦術に挑戦している感覚はあります。先ほど話したビルドアップもそうですし、そこに適応できるように、ということは常に意識しています。監督が求めているサッカーに選手全員で取り組めていると思います」
Q:監督からかけられた言葉で、嬉しかったことはありますか?
「僕個人に、というわけではないですが、チームに対して常にポジティブな言葉をかけてくれます。チームが苦しい時期、結果が出ない時期でも監督が先頭に立って引っ張ってくれていました。ミーティングでのコーチングも響くものがあります。それは自分だけではなく、チーム全体が感じていると思います」
Q:東京ヴェルディには、西尾選手と年代が近い選手が前線にはたくさんいます。ガンバ大阪出身の選手も多いですし、何かと燃える材料はあると思うが、ヴェルディの攻撃陣とのマッチアップについて
「監督もミーティングで話していましたが、『相手は全員がハードワークしてくるチーム』だと。それは自分も見ていて思いますし、次の試合で大事になることはサッカーの本質。1対1で負けないこと、球際のバトル、相手より走り勝つこと、1試合を通してハードワークが求められます。自分自身、目の前の選手に負けないことを意識して試合に入らないといけないですし、チーム全体としてもセカンドボールの戦いで勝てれば自分たちの流れに持っていけます。相手の勢いに飲まれないように試合に入ることが大事だと思います」
Q:今シーズンもセットプレーは得点源になっているが、最近の試合では進藤選手や田中選手にマークが付く分、次は西尾選手にもチャンスが来そうだが?
「毎試合、セットプレーは自分が点を取る意識で入っています。ルーカスのキックの精度も高いので、自分のところに来たら決めたいですし、チームとしても色んなバリエーションを試している中で、いいものが練習でも出せているので、試合でも発揮したいです」