MATCH PREVIEW

試合の見どころ

J1制覇へ向けて、好スタートを切る！

「今年は本気でリーグ優勝を獲りにいく」。小菊昭雄監督が、そう強い覚悟を示したクラブ創設30周年の記念すべきシーズンが、ついに幕を開ける。 今オフは、悲願達成を見据えて積極補強を敢行。登里亨平、田中駿汰、平野佑一、ルーカス フェルナンデス、ヴィトール ブエノら即戦力を数多く迎え入れ、大幅な戦力アップを果たした。かつてないほどポジション争いが激化する中、チームはタイと宮崎で1カ月間にわたる充実のキャンプを過ごし、勝負のシーズンへと挑む。 その第一歩となるホームでの開幕戦。相対するのは、FC東京だ。昨シーズン途中から指揮を執るピーター クラモフスキ―監督のもと、攻守にアグレッシブな戦いを見せる首都クラブは小柏剛や荒木遼太郎、遠藤渓太らの実力者を加え、スケールアップ。持ち前の攻撃力にさらに磨きをかけている。セレッソとしてはまず守備からリズムを作った上でボールを保持しつつ、相手を押し込んでいきたい。互いにサイドアタックを特長としているだけに、サイドの攻防で優位に立てるかどうかは勝負の分かれ目になりそうだ。 クラブの先頭に立って陣頭指揮を執る森島寛晃社長は、「セレッソの次の10年を考えた上でも、リーグ優勝がどうしても必要」と強調する。クラブ、チーム、ファン・サポーター。すべてのセレッソファミリーの力を結集して挑む節目のシーズン。重要な開幕戦を白星で飾り、最高のスタートを切りたい。

FOCUS ON DATA

データは語る

DATA① 通算対戦成績 FC東京とのJ1リーグでの通算対戦成績は、セレッソの12勝9分13敗（45得点・55失点）とほぼ五分。もっとも、直近のJ1での5試合は1勝1分3敗とやや分が悪く、2021年のヨドコウ桜スタジアム稼働以降はホームで3戦して1分2敗と勝利がない。そうした嫌なデータもあるが、昨年のホームのFC東京戦は、内容的にはセレッソが勝利してもおかしくないほど相手を押し込んだ。悲願のリーグ初制覇を目指す今シーズン。負のデータはすべて払拭していく第一歩にしたい。 DATA② 開幕節でのホームゲーム成績 セレッソにとって今シーズンは、Jリーグ参戦30年目。過去29回の開幕戦で、ホームで迎えたのはJ1・J2を合わせて16試合あり、戦績は7勝3分6敗（22得点・15失点）。通算戦績こそ拮抗しているが、3度目のJ1昇格を果たした2017年以降は7年間で6度、ホームで開幕を迎えた中で、3勝3分と無敗を誇る。今節も圧倒的なホーム感で相手を呑み込み、勝利を飾って不敗記録を継続したい。 DATA③ 両ブラジル人エースの活躍がカギに 両チームのブラジル人エースストライカー、レオ セアラとディエゴ オリヴェイラは昨シーズン、ともに自己最多のゴール数を記録した。今シーズンは得点王も狙う彼ら2人に良質なパスをどう供給するかは、勝敗を分ける大きな要素となる。昨シーズンの両チームの得点パターンを見ると、どちらも1位がクロスで、2位がセットプレー。両チームとも、新戦力のキャラクターを見ると、中央からの得点も増えそうな今シーズンだが、昨シーズンの得意なパターンからブラジル人エースをうまく生かしたチームが勝点3に近づくか。 （文＝小田尚史）

SAKURA DIARY

セレッソ番記者コラム

ホーム開幕を最大限のアドバンテージに変えて

いよいよ始まる2024シーズン。希望と不安が入り混じった開幕戦特有の高揚感と緊張感は、何度、味わっても慣れることはない。それは実際にピッチでプレーする選手たちも同様だ。特に今シーズンから桜の一員に加わった新加入選手にとっては、ホームとして戦う初のヨドコウ桜スタジアムでの試合。「開幕を新たなチームで迎えることは新鮮」（田中駿汰）、「新チームで迎える開幕戦。初心に戻った気持ち」（登里享平）と高鳴る胸の内を抑え切れない様子も伝わってきた。 彼らの“不安”を打ち消し、”希望“を膨らませていくのは、スタジアムで選手を出迎えるサポーターに他ならない。昨シーズン、開幕戦を戦い終えた香川真司は、興奮冷めやらぬ様子で、ミックスゾーンで次のように話した。 「正直、今日を迎えるまでは、なかなかイメージがついてこなかった部分もあったが、スタジアムに着いて、ファン・サポーターの作る雰囲気にはすごく驚いたし、改めて、いいスタジアム、いい雰囲気の中でやれると実感した。そこでスイッチが入ったので、ファン・サポーターに感謝したい。シーズンが始まったと感じさせられる瞬間でもありました」。 クラブ創設30周年、悲願のJ1初制覇を目指す1年の始まりを、ホームで迎えることができることを最大限のアドバンテージに変えて、勝利をつかみたい。試合終了後、弾ける笑顔でスタジアムが包まれていることを信じて。いざ、キックオフの時──。 （文＝小田尚史）

PICK UP PLAYER

MF 8 香川真司

桜を頂点へと導く背番号「8」

昨シーズン12年半ぶりにセレッソ大阪へ復帰すると、手術による影響の心配もよそに、リーグ戦全34試合に出場した背番号「8」。ピッチ外も含めたコンディション管理、試合に向けた心身の作り方、サッカーと向き合う真摯な姿勢は全選手の良きお手本となった。ピッチ内でも衰えぬ技術と正確な配球を武器に中盤でゲームを構築。シーズン終盤はアンカーという新境地も開拓しつつ、復帰初年度の1年を駆け抜けた。 復帰2年目となる今シーズンは、始動からチームに帯同。タイ、宮崎と続いた長期キャンプで体を作り上げ、開幕戦に照準を合わせてきた。「まだまだ成長していける」と尽きぬ向上心が、自身を突き動かす原動力。クラブ創設30周年の今シーズン。節目の年に、リーグ優勝へ向かって走るチームの先頭に立ち、引っ張る覚悟だ。 「ホームで勝って、いいスタートを切ることしか考えていない」。その心は、熱く燃えている。 （文＝小田尚史）