【8/11 札幌戦】Match Review
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新システムが機能し、試合を優位に進めたセレッソ。勝利は掴めずも、今後へ光明を見出す
■試合データー(選手・監督コメント/スタッツ/トラッキングデーター)
https://www.cerezo.jp/matches/2018-08-11-13/
スルガ銀行チャンピオンシップから中2日。舞台を再びリーグ戦に移したセレッソ大阪は、リーグ再開後の初勝利を掴むべく、アウェイでのコンサドーレ札幌戦に挑んだ。
先発メンバーは、オスマルと高木俊幸を除く9人がスルガ銀行チャンピオンシップから入れ替わり、この試合に向けて調整を重ねてきた選手たちがピッチに並んだ。注目はその並び。「プレーできる状態の選手たちを最大限活用するために、このシステムを考えました」と尹晶煥監督は試合後に説明したが、システムはスルガ銀行チャンピオンシップと同じ3-4-2-1。スルガ銀行チャンピオンシップでは後半の途中からオスマルが3バックの左に入る形が機能したが、この試合で再びその形を取り入れた格好となった。
実質、このメンバーでは初となる試みだったが、「選手たちは初めてにも関わらず、攻守ともによく理解してくれて、よくプレーしてくれたと思います」と指揮官も評価したように、新システムは十分に機能。空調の効いた涼しい札幌ドームでの試合ということもあり、終始、躍動した姿を北の大地で披露した。
6分、早速、セレッソが先制に成功する。丸橋祐介の蹴ったCKに杉本健勇がニアに走って札幌ディフェンスを引きつけると、その裏にタイミングよく入ったマテイ ヨニッチが、後ろに下がりながら体を捻る技ありのヘディングで豪快にネットを揺らした。
このまま一気に試合の主導権を握りたいセレッソだったが、「得点してから1分以内に失点してしまったので…」と殊勲のマテイ ヨニッチも試合後に悔やんだように、得点した直後、札幌のディフェンスラインから左サイドへ展開されると、その折り返しをチャナティップに決められ、同点に追いつかれた。
もっとも、その後もボールを握って試合を優位に進めたのはセレッソ。いつもより高めの位置を取る丸橋と松田陸の攻撃参加から好機を作ると、18分、再びセットプレーからビッグチャンス。丸橋のキックを札幌GKク ソンユンがパンチで弾いたボールを拾った杉本健勇がゴールに流し込んだが、軌道はわずかに枠の外。27分にも丸橋のCKを杉本がニアで合わせてゴールに迫ると、35分には左サイドからカットインして右足で放った丸橋のシュートが札幌ゴールを襲うも、ここはク ソンユンにビッグセーブが飛び出し、防がれた。
失点以降は「リスク管理を徹底してくれました」と指揮官が称えたように、カウンター狙いの札幌にチャンスを与えない。14分、一度だけジェイに抜け出されたが、ここはオフサイド。セレッソ優勢のまま前半が終わると、後半も最初の決定機はセレッソ。杉本の素早いリスタートから清武弘嗣が絶妙なパスを前線の高木俊幸に送ると、GKと1対1になった高木がシュートを狙うも、ク ソンユンに阻まれた。その後は一進一退の攻防となり、途中、札幌に押し込まれた時間帯こそあったセレッソだが、終盤は再びギアを上げ、押し込む。
83分、3バックの右から思い切った攻撃参加を見せた木本恭生が途中出場の田中裕介のパスを受けてペナルティーエリア内に進入。決定的な形に持ち込むも、シュートはわずかに枠を外れた。90分には、今度は3バックの左からオスマルが攻撃参加。清武とのワンツーでゴール前に進入すると、オスマルのパスを受けた杉本が狙い済ましたシュートを放ったが、クロスバーを越えた。セレッソの劇的な勝利を誰もが予感した瞬間だっただけに、シュートを打った本人も含め、思わず天を仰ぐ結果となった。
結局、試合開始から終了までテンポが落ちなかった熱戦は、途中、札幌にチャンスを作られたシーンこそあったが、全体的に見ればセレッソが支配。シュート数やボール保持率といったスタッツでも札幌を上回り、それがゲーム内容にも反映されていただけに、勝点3が欲しい一戦ではあった。それでも、前節のサガン鳥栖戦、そして今節と確実にチーム状態は上向きであり、次節こそ必ずや勝利を掴むことができる。そう感じさせてくれたことも事実だ。